2012年2月2日木曜日

SCP 087 デジタルの悪夢

現在、海外の動画投稿/配信者辺りでバズりまくっているので、もうご存知の方も多いだろうが、先日Unity向けにリリースされたSCP087というゲームがある。これが実に素晴らしい恐怖体験だった。


ゲーム本体のダウンロードは:http://www.mediafire.com/?5cadimaeo004aee
また動作には事前にUnity Webplayerのランタイムインストールが必要になるだろう。

タイトルのSCPとはリポート形式で記述された都市伝説フィクションのコミュニティで、まぁ海外の洒落怖スレみたいなものだと言えば分りやすいだろうか、詳しくは本家のwikiを参照されたし。SCP087とはその名の通り、SCP内の87番目のリポートを原作としたビデオゲームという事である。



と、「参照されたし」だの書いたが、まずは全て忘れて理屈抜きで、本作を単純にプレイするのが一番良いと思う。SCP.zipを解凍するとSCP087.exeとリソース類をまとめた"フォルダSCP087_Data"が出てくるので、任意のディレクトリに放りこみexeを叩くだけ。起動すると、SCP087 Configurationという設定画面が表示されるのでグラフィック項目を設定し"Play!"ボタンを叩くだけでよい。操作はマウスによる視点移動とWASDによる移動のみのごく一般的なFPS操作だ。




ゲームが始まると、背にしたドアが閉まる大きな音がし、暗闇の中にプレイヤーは放りだされる。
コンクリ壁の冷たい人工建造物、プレイヤーはただひたすら延々続く階段を降り続けるそれだけの
ゲームだ。自分の足音、不安を煽る静かなアンビエントの中、5分、10分と階段を下り続けると…


以下ネタバレ












本作は非常によく出来た都市伝説のビデオゲーム化だと言える。昨今の洒落怖スレのトレンドに多い凝った"怪奇設定"、"お話"を長々と講釈するような無粋な真似は、ここには一切ない。新耳袋を彷彿とさせる不親切な放り投げ、説明できない"不条理"故の怪奇が一人称体験にてデジタルネイティブに描かれている。15分間プレイヤーは全くこれといった変化のない、暗く冷たい不気味なコンクリ廊下を下っていくが、突然暗闇の先に白い"顔"のようなモノが浮かんでいることに気づく、意を決して進むとその"何か"が画面に迫ってきて、唐突にプレイヤーはデスクトップに戻されてしまう。


まともな終了処理をせず、見慣れたデスクトップに無理矢理引き戻されると、悪夢から目覚めたような感覚がプレイヤーに残る。「あれはなんだったんだろう?」SCP-087は日常の隙間に潜む不安の種なのだ、通常のWindowsデスクトップオペレーションの延長線上に、そっとそれは置かれているのである。


Unityというお手軽な動作環境、怖いらしいと評判のゲームをダウンロードして、exeを叩けば、後ろの扉は無慈悲にも閉ざされ、プレイヤーは階段を下りていくしかない。その先に潜む悪夢は、スタッフロールを執拗に見せてきたり、Windows標準ポップアップでポン!「本当に終了しますか?」なんて白けたお伺いを立てたりしない。唐突に終わり、種を植え付けていく。


デジタルの悪夢もまた、デジタルの日常に潜むのだ。

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ugh