2014年12月3日水曜日

実録ドリームハックウィンター2014.csgo

Supervention
ノルウェーの素晴らしいフリーライディングドキュメンタリーだ。
そして、今回の話には全く関係がないぞ。
スカンジナビアの冬は美しく、そして厳しいのだ。

北極圏に位置する北欧はスカンジナビア半島、ところによりオーロラのゆらめきを観測できる彼の地の冬はエクストリームウィンタースポーツか、屋内でコンピュータホビーを嗜むしかない。そんな厳しい環境と、そこに住む人々の情熱が育てた冬のDreamhackは世界最大のLan Partyだ。ここで開催されるトーナメントでは、最後に立っていた者に最大の名誉が授けられる。

スウェーデンの支配は続く
2012年にリリースされたCounter Strike Global Offensiveのプロシーンは今現在に至るまで欧州が、それもスウェーデンにより大部分を支配されてきたといって過言ではない。少なくともこれまでの冬のDreamhackは2012年をSweの英雄である新生Ninjas In Pajamasが治め、翌年は前年度覇者NiPを破って、純粋スウェーデン人チームとして当時生まれ変わった大正義Fnatic軍によって治められた。



そんな栄光の陰で辛酸の結晶をコークのように鼻で吸ってキメまくっていたのが欧州は南のフランスだった。実質的なCSGOの前作であるCounter Strike Sourceにおける欧州シーン爆心地であったこの国は、下馬評で最も聖地奪還に近い国だと信じられていた。しかし実際に蓋を開けてみればヨーロッパの西に位置するフランスもスカンジナビアを中心とするシーンにおいては相変わらず"南"に過ぎないものだった。フランス最強の十字軍Very Gamesは2012年に開催されたトーナメントの殆どで北のサラディンことNinjas in Pajamasに敗れた、NiPが連続大会優勝記録を刻むそのすぐ後ろで、彼らは連続大会ベスト2の記録を作っていた、屈辱であった。

Very Games初期の足跡
いつしか十字軍たるVery Gamesは瓦解していた、2013年の暮れにチームは完全消滅した。彼らは2013年冬のDreamhackでまたしてもNiPに敗れ準決勝敗退となったのだ。そのNiPも完全スウェーデン人チームとするべく行われた強行指名買収によって生まれた勝つためのチーム、大正義Fnatic軍に決勝で敗れていた。VGのメンバーはこれまでの敗者の名を捨て、2014年にフランス大正義巨人軍ことTitan eSportsとして再出発した。

Quake Live Duelの現世界支配者、
Cypherのチームでもおなじみ大正義巨人軍
しかし2014年の欧州の海は穏やかではなかった。巨人Titanは変わらずコンスタントに好成績を残しながらも、チームは分裂の危機に常に直面していた。4月に旧VGの後期より在籍し活躍した天才shoxが脱退した、亀裂が入っていた事には気づいていたが、ずぶずぶと沈む穴が地表にはっきりと見えたのは突然だった。8月にはTitanを含むフランスの強豪3チームが突如崩壊した。メンバー総入れ替えの末、均衡を保っていた3チームが2チームになっていた、しかもその片方は旧VG後期加入組のもう一人の天才ScreaMを除くと搾りかす同然のチームだった。

しばらくすると、あまっていた1チーム分の人間が当然のように結集して新チームを旗揚げしていた。このMercenariesという、傭兵を自称する節操ないチームには旧VGの3人がいた。彼らはすぐにスポンサーを見つけ名をLDLCと改めてプロシーンへ一瞬でカムバックしたのだった。そして結局のところ2014年冬のDreamhackにおけるフランスからの参加チームはこのLDLCだけだった。
旧VG時代から活躍するLDLCのNBK(20歳)
VG時代から続くフランス2014年最新型LDLCは南側のチームとしては欧州の覇者に最も近い存在だった。彼らはDreamhack初日のグループステージを全勝で勝ち上がった、このグループにはかつての支配者である英雄王NiPもいた、偉大なる聖地で宿敵との前哨戦を快勝したのだ。選手の何人かが10代だった頃のフランスとは比べようもない安定感がLDLCにはあった。彼らは常に高い操作技量を持っていた、しかし彼らを戦いの中で真っ先に裏切るのも、その手先のテクニークだった。だが操作技術が常にミスを伴うという事をこの20代のフランス人達は知っていた。不確定要素に依存しにくい高度な戦略が、その圧倒的な操作技術を確かに裏付けていたのだ。

2日目の準々決勝にあがったLDLCは実質の決勝と目される、前大会覇者、大正義Fnatic軍との2本先取戦を迎えた。しかし、この時Sweの名門として確固たるブランドを築いていたFnaticのCSGO部門は直近の不正疑惑により大いに燃えていた。

僕達はチートの事をよく知っているようで、殆ど知らないのだと思う。
その発端となる種火は近くて遠い欧州ハッカーシーンからだった。今年のはじめ頃に、これまで門外不出だったドイツ人コーダーによる高度な私家製チートツールのソースコードが流出していた。このソースコードを元にESEA Anti Cheatは11月のはじめに対応へ動いた。そして我らがValveの不正防止システムVACは、公式な告知こそなかったが、ESEAの協力により数週間遅れてほぼ同様の対応を行ったと言われている。

結果的にDreamhack開催1週間前のタイミングで南側ハッカーの一斉Banが行われた。問題はこのBAN対象者の中にドイツやフランスの現役プロプレイヤーが含まれていたのだ。無論、彼らは即時にシーンを追放された。もうこれだけで大スキャンダルだというのに、チート使用が発覚しキャリアを絶たれたsmnと言う名のドイツ人プレイヤーは大正義Fnatic軍以下、欧州プロシーンにまだチーターが潜んでいる事を名指しで暴露しはじめるではないか、失う物のない男は最後に道連れ自爆テロを図ったのだ。

当初はこの見苦しい爆死男自身に死体蹴りを入れて楽しんでいたコミュニティと言う名の温室に潜むゴキブリトロール達だったが、ハッカーシーンは未だに不正防止システムに解読されていないデンマークの天才コーダーにより"デザイン"された強力な北の私家製チートツールが存在する事を示唆した。プロシーンの人間が使っているかはともかく、広く知られていないだけで、システムの網を潜りぬけ、人の目をも騙す、巧妙なツールがまだ欧州には存在するのは確かな事実だった。

それをプロが使っているんだ…疑惑はふつふつとしてわいていた。そして、それは、おおむね大正義Fnatic軍に所属する鉄腕Flushaに向けられた。だって彼がぱっと見一番怪しい奴だったから。トロールと正義感と偏執狂的な複雑なヘイト性質が入り混じるインターネットのぐつぐつとしたケイオスが彼へのハンティングを開始した。

ストリーミングに映るだけでチート顔だの散々言われる男Flusha


少なくない人達が不正の証拠と考える映像の一つ

少なくない職業プロゲーマーもFlushaの不正行為を確信していた。スカンジナビアの職業イースポーツジャーナリスト、スウェーデンのご意見番、飛ばし屋のLurppisもまた、鉄腕Flushaの悪行を自身が確信している事を述べた。それは、わざとらしく便所の床に吐き捨てた唾か、さながら思いきりよく、しごいて飛ばした一発目の濃い精液のようだった、すなわち、それはせいぜいがトロール達への美味しい栄養源に過ぎなかった。憶測の域を出ないままにわずか数日で大正義Fnatic軍は大不正Fnatic軍として聖地を汚す悪党とまで言われていた。それは、からくりドームの不正が露になった架空の文京区野球団のようであった。


過去の不正の可能性はどうあれ、昨年の覇者はフランス十字軍の遠征を迎え撃つ事になった。これはスウェーデンの、シーンの一番長い日の始まりだった。この日の大正義は既にトロール軍にあった、Flushaが好プレイを見せればクソ不正野郎だと罵ってみせた、反対にFlushaがドジればチートがないと、ただのド下手野郎だなと罵る、この無敵の二段構えを誰も破る事ができない状態だった。そんな悪辣な空気がシーンを支配する中で、最初に1本を取ったのはLDLCだった、Fnaticが安定に欠くとされるDust2をLDLCはTハーフ時点で大きくちぎり勝利した。しかし腐っても大正義Fnatic軍、2本目Cacheは不利とされるTでハーフまでに11ラウンドを取って圧勝する、Cacheメタ世界最強は伊達じゃなかった。

Crusader Kings II
泣いても笑っても最終戦であるOverpassは今大会で最も印象的な1戦だった、3年目の聖地制圧に挑戦するLDLCはド有利とされるCTでスタートし圧倒的な完成度で12本を取って折り返した。更に続けてハーフ後の最初のラウンドを見事に前年度覇者から奪ったのだ。完全に勝利は目前だった、優勝すら既定路線だった。かつての英雄王NiPは衰え、大正義Fnatic軍にいたっては罵られながら無様にくたばるのか…、誰しもがそう思っていた。トロールはざまぁみやがれと声高に叫ぶ長い1秒後を夢想してぎんぎんにエレクトしていた、熱狂的なフランス人フォロワーは気の早い涙を流そうと瞳をうるつかせていた。ところが、当のFnaticはこれっぽっちも状況を悲観していなかった、大不正Fnatic軍と罵られ、ホームであるはずのDreamhackですら居心地が悪いときた。もし、これがウクライナの大会であれば黄色い纏い物をしたNa'viファンボーイの過激派に血祭りにされかねないだろう。そんな状況下で不敵な笑みを浮かべていた。

17ラウンド目、圧倒的不利な状況でFnaticのOlofmeisterは1700ドルの粗末なボルトアクションライフルを手にとり、他2人のチームメイトと共にスポーン位置で奇妙な陣形を組んでいた。観客は口々に"こんなことができるの?"と率直過ぎる疑問をエナジードリンクで濁った口臭と共に吐き出していた。Olofmeisterは今まで彼ら以外に誰も知らなかった、ユニークなブーストを用いて極悪位置からのシュートアウトを開始した、それは殺戮だった。通常容易に把握できない相手の動線のチェックと、更には一方的な攻撃を可能とした革新的で強力なポジションだった、多くの人は、つい先程まで彼らの闘志は罵倒に濁り潰えてしまったと思っていた。だが実際は全くそんな事がなかった、北の不死鳥、大畜生Fnatic復活の瞬間だった。

様々な論争を生んだFnaticブースト
あの瞬間まで彼ら以外に誰もその存在を知らなかった。
大畜生Fnaticは圧倒的だった、ここから始まる真のファーストラウンドをOlofmeisterという悪魔じみた射手は慎重に確実に手にした。B側高架下へ向かう無警戒なNBKの脳天を撃ち抜き、つづくSmithZzを外すも、遅れてエントリーしたkioShiMaの息の根は確実に止めてみせた。2つの殺害戦果と敵の詳細なエントリー状況を把握すると、土台のKRiMZと共にポジションを移った。多くの人があっけに取られた。追い詰められて絶体絶命だったはずのFnaticが強烈な角度でLDLCにカウンターを突き刺していた、イノベーションだった、完璧で、ぐうの音も出ない畜生行為だった。

大畜生Fnatic起死回生の一発は、コリジョングリッチの一種だった。それは、どこの3Dゲームにもありふれた物だった。マップ上に存在するおかしな衝突判定を使う事で、ゲームバランスを根底からひっくり返す致命的アドバンテージが得られる…業界では珍しくもない類の事象だった。ただし、もし僕がこのゲームのマップバランス調整担当だったら次期アップデートで迅速な修正が必要だとリポートしただろう。だから誰かがすぐに口にした、"これってズルじゃないの?"サワーソースフレーバーの口当たりの良いスナック菓子の欠片が引きつった口角にこびり付いていた。


3Dゲームのレベルデザインに詳しくない人の為に解説すると、上のgyfの通り、見た目上は足を掛けられそうな突起がこのマップには存在する。しかし、この突起にプレイヤーが乗って壁の向こうを覗いてしまうと途端にゲームバランスが崩壊してしまうのだ。その為デザイナーはリッチなグラフィックスとゲームバランスの折り合いをつけるべく、不可視の衝突オブジェクト(赤い板切れみたいの)を配置して、実際はプレイヤーが登る事のできない1枚壁になるよう調整している。

デザイナーの意図通り、多くの人はここは見た目に反して登る事のできない壁なのだと思っていた。しかし、このクリッピング用の見えない壁が上下2枚の甘めな構成だったが為に、意図しない、おかしな足場が一意の場所に存在したままだったのだ。先に記した通りFnaticはこの潜在的な不具合を使った。それも修正がされないよう、これまで一度も報告せず、この大一番の切り札として温存していた。なんで見た目とコリジョンが違うんだよ、ふざけんな!と思うのであればグラディウス3でもやって落ち着いてほしい。

ズルいとはそりゃ思っただろう。だからと言ってそれが不正と言い切れるか、あるいは100%正当な行為なのか、誰もイマイチ判断ができなかった…Fnaticは畜生行為を平然と働く人間の屑なのだと多くの人が確信していたにも関わらず。今にして思えば、Fnaticの畜生行為は"セーフ"だったと僕は思う。彼らは裁かれるべき必然を持っていたが、残念ながらそれを断罪するルールがあの時点では存在していなかった。だから実際のところDreamhackの審判達は驚くほど無力だった。そしてフランスの十字軍達もまた、それ以降1mmもいい所を見せる事なく、同じ手でボコボコのズタボロにされていた。もはや誰もが無力感に苛まれるか、あるいはチェス盤をひっくり返して、駒が飛び散る様を中継する、そんな暴力チェス大会の映像を観てハイになるチェスファンのようになっていた。

どうだ楽しいか?俺達はめちゃくちゃ楽しいよ!!!
DreamhackはすぐさまLDLCを守るべきだったかもしれない。仮にPS4で最強 羽生将棋の新作がリリースされて、大会が明日にでもあったとしよう。僕が他の誰も知らない相手から奪った駒をなんにでも変化できる極悪グリッチを発見し、それを大会で使って決勝を優勝したとする。この時、お粗末な運営は"将棋ルール外のゲーム特有の意図しない動作の禁止"だとか、そういう条文を間抜けにもルールブックに記載しなかったからって、僕を野放しにしてはいけない。許されざる者に対して、なにかしら他の条文を引っ張ってきてでも、自身の醜態を晒してでも、僕以外の善良な人間を守らなくてはいけないからだ。ストーカー規正法がなかった時代、法に抵触しないつきまとい行為を人々はみな、しょうがないにゃぁと許したのか?罪として裁かれるべき悪行が明確な物として、その瞬間に裁けなかっただけなのだ。
悪夢の17ラウンドから1つも落とす事無くスウェーデンの生きる奇跡Fnaticは大逆転勝利をおさめた。
別グループで既に準決勝行きを確定させたかつての英雄王NiPのf0restは直後に、

"こんなのCounter Strikeじゃないよ…"

と至極当然の言葉を残した。
そして、それに被せるように畜生軍団の元締めであるFnatic監督cArnは

"残念、これがCounter Strikeです!"

と畜生の主にふさわしい印象的なコメントを残した。

決着がついたその時点で、多くの人はやっと体が動き出したようだった。あまりにもカリスマティックな畜生行為に誰しも釘付けになっていた。Fnaticのブーストはゲームを破壊していたが、その行為が何という不正なのか、誰も答えを持っていなかった。行き場のない義憤がそれぞれのサーキットをがむしゃらに駆けずり回っていた。しばらくして、どこかの狡賢い奴がルールブックのPixel Walkingという反則を元に審議してみては…と発信した。なんだよPixel Walkingって?見えない床やどうみても立ってられないような場所を歩いちゃだめ?それって今回適用されるの?

確かに通常立ってられないような場所にはいるけれど、
コンテナの見えない淵に足をひっかっけて一人で登ったり、
そもそも人のドタマに登ってピョンピョンしてるゲームで今更…
旧VGから数えて3年目の挑戦をするNBKという若いフランス人は審判に掛け合っていた。しかし、これはあまりにも怪しい条文だった。ストーカーが自分の出した家庭ゴミを漁る行為に対して、資源ごみ持ち去り禁止条例で、とりあえずしょっぴいてもらおうとするような、なんとも煮え切らない、本質的な問題の為の条文ではなかった。それでも、あの畜生を何とかして止めるのだとシーンは息巻いていた。しかしDreamhackの審判はある種、誠実ではあったが全く人間味に欠ける人達だった、もしかしたらFnaticはそれをはじめから知っていたのかもしれないが、なにはともあれ当初はFnaticの行為を頑として不正と認めなかった。

この実質的な決勝と見られる壮絶な戦いは、ゲーム内での決着をしてなお終わらなかった。しかし6時間に渡る話し合いの末に一旦はLDLC側の要求がおおむね通ったようだった、17ラウンド目から戻して戦うという方向で話が進んだようだ。この間もシーンはガッシャンガッシャン回転し存分に燃え上がっていたので流石にビビったのかもしれない、それはそれで不誠実な話であるが、とりあえず、さまざまな局面で神経をすり減らしたNBKはゲッソリとした顔で戻ってきたという。
もちろんFnaticはその審議内容に対して抗議をした。今度は30分もせず、0-0で明日に再戦とする事が決定した、これには大正義Fnatic軍cArn監督もご満悦の様子であった。我らがスウェーデンのスウィートホームことDreamhackはFnaticを守る方向で動く事を決めたようであった、我々が思う以上にフランスが聖地奪還の為に乗り越えるべき壁は厚く巨大だったようだ。

しかし、このシーンの一番長い日はあっけなく終わった。次の日にDreamhackの大聖域こと聖人Fnatic軍が下した最後の決断は最終マッチの棄権だった。"僕ら最強なんだけどね、そもそもあれ不正ちゃうから、まぁ今回はおたくらに譲りますわ、ほんじゃま準決勝もLDLCファイティーン"というワケで友好的な和解を示すべく記念写真をパチリ、疲弊したフランス人の目は濁り、魂は昨日より、誰かへさよならを言う時ほどに死んでいた。

なかよしこよし!
最終的に決勝はLDLCとNiPとなった。旧VG時代から足掛け3年続くフランス最大の敵、スウェーデン最初で最後の英雄ことNiPとの最終決勝である。NiPは新メンバーの調整を不安視されていたが、前評判を覆して健闘した。しかし接戦の末に最後に立っていたのはLDLCだった。フランスが遂に北を破った。これはDreamhack 2014 Winterで最も素晴らしいゲームだったが、Fnatic戦にあった全方位に張り詰めた異様なテンション、次の瞬間何が起こるか全く分からない驚異のメタ展開という麻薬的な面白さとは異なるものだった。

おめでとうフレンチメン!
実際の所、Fnaticがどこぞのアホに生卵をぶつけられて然るべく存在であると思う一方で、全てをかなぐり捨てて目前の勝利を追う、狂気的なその戦闘姿勢に僕は感動を覚えていた。Flushaという人がチート疑惑で燃え上がった時、僕は彼がこのままショットガン自殺をするか、もしくはショットガンを持ってシュートアウトを起こした後に自殺するんじゃないかと心配だった。しかし彼は周囲が何と言おうとあの場に現れて戦ってみせたのである。本当は彼が潔白なのか、それとも単に図太いのか、イカれてるのか、潔白な上でイカれているのか。

思い出せ、これが真の畜生チート顔だ!
かつてWarcraft3のLadderでチート使ったのがバレて西側のシーンからは、ほぼ完全に追放されたのに、平気な顔して地元など東側でゲームをしていた狂気のロシア人ことSKのDeadmanという男がいた事を僕は思い起こす。Glitch Masterみたいな連中が多かったWC3シーン(それは長く海の物とも山の物ともつかないゲームだった)でDeadmanはそういう類のプレイヤーではなかったが、現在のFnaticというチームはグリッチ(寸前の"荒れる"テクニック)の研究、そしてそれを活用する事を躊躇しないという点でより優れている可能性がある。

Fnaticリーダーのpronaxはイベント終了後、恨み節全開の怨念じみたブログをfacebookにアップした。そこには件のブーストが不正だとは今だって思っていない事、そして(俺らのような悪党ではなく)スウェーデンの英雄であるNiPがあれを使用してみせたらお前らは不正だと非難したか?いいやしないね!(反語)とか、Dota2とかいうクソゲーのイカれグリッチが大会で通ったのに、あのぐらいで文句言うなよとか、もうアホみたいなトロールの偏執狂に付き合うのはウンザリだとか、様々な事柄を赤裸々に表明した。
本当のところ件のブーストを彼らがどう思って使ったかは知らない。ただし彼らはあの時点でブーストを使わなければ負けていた可能性は極めて高かった。潔く正々堂々と、誠実に、スポーツマンシップに則ったところで彼らに勝利はなかった。そんなクソの役にも立たない良心や他者からのリスペクトと、神聖で絶対な勝利を天秤にかけて、最終局面で彼らが取ったのは、どんな事をしても勝ちに縋りつこうという行為だった。品格だとかシーンの紳士だとか、そういった類の戯言で事の本質から離れない、100%勝負師、ゼロサムゲームの鉄人が今のFnaticというチームなのだと思う。その道は茨の道であり、個人的には全く支持したくもないし、今回もまんまと取りこぼしたのだが、彼らの思想を否定する事もまたできない。

まとめよう、フランスはスカンジナビアを3年目にして遂に制圧し、その陰で、昨年の覇者は手に入れた名誉を全て失って敗北した。これにより相対的に低迷気味だったSweの英雄への評価は上がったような気がする。しかし、これらは決して物語の終わりではなく、今日と、そしてまた明日に繋がっていくだろう、シーンは今もごうごうと燃えていて、スカンジナビアの冬は美しく、厳しいままだ。

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ugh